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とんでもない塾の実態
こんにちは。
きょうは選挙ですね。私もこれから行ってきます。



さて今日は、ある人から耳にした、とんでもない塾の実態について書く。
(あくまで「聞いた話」ですから「実態」と言い切れるかどうかはわかりませんが)


都内に10教室程度を構える英語専門塾(30年の歴史があるらしい)

1クラス12名のコースから6名のコースまで複数あるというが、すべて「個別指導」という。
教師1人が12名を個別指導するらしい(問題を解かせながら、ぐるぐる回っていく)。
時間は1回2時間で週2〜6回で選べるとのこと。
人数の最も多いコースで週2回通って、月謝24000円程度。
人気があって、いくつかの教室ではキャンセル待ち状態とか。

しかし、まずこの時点で、ふつうの塾の教師が見れば「ええっ?」と思うはず。
教室には1人の教師だけがいて、12名を120分間、個別に指導する。
平等に教えるとなれば、教師が教える時間は1人10分が限界。
無論、インプットだけでなくアウトプットの時間が重要なのはわかる。
しかしこれでは110分もの間、問題を解かせているだけで、説明してあげられるのは1人あたり10分しかない。
つまり週2回で20分。月に80分。これで24000円。

教師は全員プロで学生などは雇っていないというから価格が高いのはわからないでもないが、どんなプロでも、この仕組みでは力を持て余す。
しかも学年は混ぜこぜであり一斉授業の時間はゼロ(個別と謳っているから当然だが)。

聞けば、教師が説明している間、他の説明を受けていない子はトイレに行ったまま帰ってこなかったり、スマホをいじっていたり、うとうとしていたりする子も多いらしいのだが、先生は12名に平等に教えなければならないから忙しく、そのような子に気づかないことが多い(または見ても見ぬふり)という。
そもそも「できない子」の在籍率が高く、わからない問題があるとそこで止まってしまい先に進めない。
先生が自分のところに回ってくるまで待つしかない。
2時間で解いた問題が文法問題1〜2問なんてことも多いらしい。

今、このような「自立学習型」の塾が人気と聞く。
確かに、自主性を高め演習量を確保できると聞けば、たいていの親は魅力を感じるだろう。
しかし、ここには大きな罠が潜んでいる。

成績が上がらない理由が「単なる演習量不足」であるのなら、アウトプット量を増やすためにこのような自立学習型の塾はある程度、役に立つこともあるだろう。
しかし根本的な基礎理論(数学でいえば公式・定理の成り立ちや証明、英語でいえば文法理論)が理解されていないことが理由で成績が低迷している子がこのような塾に入ってしまうと「わかったつもり」「勉強したつもり」でどんどん時間が過ぎていってしまい、結果に結びつかない可能性が極めて高い。
(そもそも1つ教えてもらえば連鎖して10個の問題が解けるようになるような「1を聞いて10を知る」レベルの子は、このような塾には入らないでしょう)


さらにこの塾は、宿題は一切ナシ、授業中に全部身につけさせると謳っているらしい。
それ自体は大変すばらしいことでありそのような覚悟を持った指導は重要である。
しかし、知識や理論を伝授(インプット)せず、ただ単に問題を解かせるだけで本当に「身につく」のかという疑問はぬぐえない。

同じ12名なら学年を絞った一斉指導でしっかりと考え方から指導し、演習は家庭学習にある程度ゆだねるほうが成績向上に寄与するだろう。

ふだんは講義中心の授業を受けている子が、夏休みだけ自立学習スタイルでアウトプット中心の授業を集中的に行うとか、基礎が身についた段階の入試直前指導で演習と解き直しを中心にひとりひとり見ていくとか、そのようなスタイルであれば効果が望めるとも思う。
しかし「ベースとなる知識」や「型」を理解・記憶していない子が、いきなり問題演習中心のレギュラー講座に参加しても効果は薄いだろう。

これをお読みの保護者は、我が子が自立学習スタイルの塾で結果を出せるレベルなのかどうかしっかり見極めてから、このような塾を選択肢に入れるべきか、よく考えてほしいと思う。

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author:福嶋淳史(ふくしまあつし), category:学習塾, 11:30
comments(2), -, -
Comment
福嶋 先生


貴重な情報を提供していただきありがとうございます。
この様な塾が世の中に存在しているとは実に驚きですね。

私個人の意見としては、一般的な個別指導塾にて採用されている1対3であっても、
各生徒を高校入試以上の次元で成績を向上させることは困難に思っております。

そろそろ業界内で「個別指導」の定義を統一した方がよい気がします。
名無し講師, 2014/12/14 10:37 PM
名無し講師さん
コメントありがとうございます。
こういう塾、実はたくさんあるみたいですね。
子どもたちがかわいそうです。
個別は、1対1か1対2がベストでしょうね。
1対2でも難しい面はありますが。

ではまたよろしくお願いします。
福嶋, 2014/12/15 10:26 AM